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2009年1月 9日 (金)

多摩川で知った生き物たち

子供たちが体験・観察記録を報告

 東京湾河口から50キロ前後の羽村堰下流の多摩川が好きで、週末に出向くことが多い。右岸には羽村草花丘陵が横たわり、「玉の横山」と万葉集に歌われた多摩丘陵に似て、小高い丘陵がなだらかに広がる。遡るほど山が迫る景観を想像させるポイントだ。それだけに空の広さを存分に感じさせる。

 そんな光景の中に、福生市と羽村市の市境付近の左岸土手に「一本欅」がある。空が広い中に、いわば孤高のケヤキは、中流域の多摩川の雄大さを際立たせる。このケヤキの下をジョギングする人、サイクリングを楽しむ人、仲間や家族、ペットの犬とともにウオーキングを楽しむ人たちが、まるでフィギュアのように映るほどケヤキの樹高が高い。枝がまるく広がっている。眼下の川面は冬の光を照らしてきらめく。アオサギやコサギなど水鳥がエサを捕るのに忙しい光景もまた、時間を忘れさせてくれる。東側に延びる裸木が連なる玉川上水も多摩を象徴するひとコマだ。

 地元、福生水辺の楽校(がっこう)など多摩川流域は、子供たちが中心になって、川で遊んだり、生き物探検をしたりして自然に親しんでいる。16の水辺の楽校があるという。これらのメンバーが日ごろの活動を報告する初めての「多摩川子ども環境シンポジウム」が、081220日に昭島市で開かれた。多摩川をシンボルに、住みやすく活力ある地域づくりを進めている「美しい多摩川フォーラム」(事務局・青梅信用金庫内)が主催した。

 1番バッターは、模造紙とパソコンを使って「多摩川の魚たち」について報告した川崎市立生田小学校5年、山崎穂垂(ほたる)さん。メダカなど在来種の大きさなどを測り、写真も撮って報告した。ザリガニなどの外来種の多さも語った。推定100万匹がいた、というアユの数には会場がどよめいた。

 「たちかわ水辺の楽校」のメンバーは、紙を使って橋の強度実験の結果を報告。紙とはいえ、人が乗ってもつぶれないことを証明して、構造を改良すれば、鉄道車両のような重いものにも耐えられると分析した。山梨県小菅村での源流体験チームは夏でも水温17度であり、沢遊びの楽しさと水の怖さを体験、縦になっていた地層があることも新発見だった。

 ネイチャーガイドの案内で野鳥観察をした「青梅・多摩川水辺のフォーラム」の会員・大槻美峰さんと大槻航平君は、40種類ほど見た中から、身近なスズメやムクドリ、ヒヨドリ、コサギの写真をスクリーンに映して、その特徴と生態を説明、「魚とりの名人」カワセミも披露した。下流域でボートを楽しんでレースに出場して優勝した世田谷区の中学1年、小林格君と小学6年、金子怜生君は青空の下でボートを漕いでいると夏でも暑さを忘れたという。そうした体験から「人と動植物がもっと快適に暮らせたらいい」と訴えた。

 ヤモリを主役にした紙芝居、手作りのいかだで浅川下りをした体験、暮らしに役立つ消臭剤を開発した報告など、子供たちは、身近な川の偉大さを知り、自分たちが成長したことを報告した。まさに「多摩川は母なる川」であることを証明した。どのメンバーも共通して訴えたのは、川を汚さないで、みんなでごみを拾おうということだ。

Photo

多摩川を含む武蔵野台地は、先人の歴史があり、文化をはぐくみ、繰り返し人を育ててきたように、シンポジウムを聞いて、今もこの地は、母なる大地であることを振り返った。多摩の住民にとって、多摩川を知ることは自分が住んでいる町が語れることであり、日本の実情を知る玄関口でもある。「わが多摩」は、そんな舞台であることを改めて考えさせられたシンポジウムだった。

         タマケン事務局 藤井

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