御岳山(929メートル)は、涼感がいっぱいでした。下界の喧騒と熱暑がうそのようです。そよぐ風で重なる葉がすれて、その音が山中の静かさを感じさせるのです。
ケーブル御岳山駅からほど近い富士峰園地北斜面に花開くレンゲショウマが咲き誇っていました。5万株もあるといいます。高さ50~80センチの茎の上部につく直径2~3センチの薄紫色の厚手の花びらは、半透明で、ガラス細工のようであり、蝋細工でもあるような提灯に見えます。
レンゲショウマの花言葉は、「伝統美」だそうです。清楚な中ににおい立つあでやかささえ感じます。
樹間を抜ける涼風は、その提灯をかすかに揺らします。硬さを際立たせる球形のつぼみとの対比もまた絵になります。
愛らしい主役たちを一目見ようと、この日、山道は人の列とカメラの砲列でにぎわっていました。
8月末まで、レンゲショウマ祭りを行っています。
ここからさらに足を延ばして、長尾平から千段もあろうかという急斜面の階段を一気に下りてロックガーデン(御岳山岩石園)の冷気の世界を歩きました。沢を縫うように何度も渡り、繰り返すはしご階段をよじ登りました。聞こえるのは、鳥のさえずりと沢を流れる水の音。名瀑「七代の滝」つぼは、流れ落ちる水で起きる風がほおを、腕をなでます。
「七代の滝」から1キロほど上流の「綾広の滝」まで、1935(昭和10)年に東京府(東京都の前身)が東京緑地計画に基づいて整備した遊歩道が続きます。
渓流は奇石怪石の連続で、水は露岩をはみ、岩肌はみずみずしい苔で覆われています。その苔の色が沢全体に映えて若緑の世界を醸し出しています。
渓流沿いに続く山道を歩いていると、吹き下りてくるさわやかな沢風が身を冷やし、下界の炎暑を忘れさせます。沢水に手を入れ、足を入れました。10秒、15秒……20秒ぐらいまで我慢しましたが、冷たすぎて痛みを覚え、30秒と水に入っていられません。ここを「東京の奥入瀬」とはよく言ったものだと改めて思います。
野ではとっくに開花期が終わったタマアジサイは、ここでは最盛期。小さな釣鐘型の青紫色のソバナにも巡り合えました。
綾広の滝つぼでも瀑布が起こした風に身を任せて、マイナスイオンを存分に染み込ませてきました。滝つぼから仰ぎ見る木々の葉は、新葉のように澄んで見えました。
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なお、御岳山では11月までの毎月第4日曜20時から御嶽神社に伝わる太々神楽(だいだいかぐら)が神社鳥居前の特設舞台で上演されています。
9月21日11時から同神社神楽殿で、神楽と雅神が一般公開されます。無料。
10月10日と11日19時半から同特設舞台で、薪神楽が上演されます。
問い合わせは電話0428-78-8121御岳山商店組合(http://mitakesan.com)